失った歯はもとに戻りません。
歯を失う原因として「むし歯」と「歯周病」が二大要因です。
皆さんは、日本人が歯を失う原因の第一位はご存知ですか?
それは「歯周病」です。
一般的に歯は奥歯から失われる傾向があります。
若いうちはむし歯で歯を失う場合が多いのですが、残った歯が少なくなるにつれて歯周病で失われる歯が多くなります。
歯周病がかなり進行すると歯肉や歯槽骨(歯を支える骨)などの歯周組織が破壊されはじめ、最終的に歯が抜け落ちてしまう、とてもおそろしい病気です。
歯は全体のバランスから成り立っています。
たった一本、歯を欠損しただけでも、そのままにしておくことで色々な悪影響が出てきます。歯を抜けたままにして放置することはオススメできません。
歯の喪失の原因
【上の図】2005年に全国2000余の歯科医院で行われた全国抜歯原因調査結果です(円グラフは全年齢、棒グラフは年齢階級別)。歯が失われる原因で最も多かったのが「歯周病」(42%)で、以下「むし歯」(32%)、「その他」(13%)、「破折」(11%)、「矯正」(1%)の順でした。このうち「その他」は大半が智歯(親知らず)の抜歯で比較的若い時期に抜歯されます。また「破折」の多くは、外傷など物理的に非日常的な大きな力が作用したものではなく、無髄歯(神経をとった歯)と考えられるので原因は「むし歯由来」とみなすことができます。
抜歯原因を年齢階級別にみますと、「歯周病」と「破折」による抜歯は中高年、「その他(多くが智歯)」と「矯正」は若い年代に多く、「むし歯」はどの年齢層でも多くなっています。
引用 : 厚生労働省 抜歯の主原因(全体)と抜歯の主原因別にみた抜歯数(年齢階級別、実数)
抜けたまま放置することはよくありません。
放置すると色々な悪い影響が出てきます。次のようなデメリットがあります。
- 抜けた歯に噛み合っていた反対側の歯が伸びてきます。
- かみ合わせが合わなくなる
- むし歯、歯周病になりやすくなる
- 口元のシワが増える
- 見た目が悪くなる
- 歯茎の位置が下がってくる
- 発音がきちんとできなくなる
- 話にくくなる
- うまく噛み切れなくなる などなど
歯を失ったときの治療の選択肢
歯を失ったときの選択肢として、「インプラント」「ブリッジ」「入れ歯」で治療することになります。
インプラント | ブリッジ | 入れ歯 | |
コスト/保険適用 | 高い/保険的適応外 | 白い歯の場合かかる/保険適用 | 保険適用 |
治療時間 | 長い | 短い | 短い |
外科的治療 | 手術が必要 | 不要 | 不要 |
他の歯を削る | 削らない | 多く削る | 一部削る |
噛む力 | 自分の歯(天然歯)とほぼ同じ | 天然歯の6割程度 | 天然歯より大きく低下 |
味覚への影響 | ほとんどない | ほとんどない | 味を感じにくくなる |
歯牙部分欠損の分類法
歯科では、歯を失った場合、その欠損状態を分類しています。
残存歯列のどこに欠損部位があるのかを端的に表すことができます。また、義歯を設計する上で非常に有用な分類法です。
その分類方法のひとつに ケネディ分類【Kennedy classification】があります。今日は欠損した歯の分類方法についてお伝えいたします。
ケネディーの分類は1928年にKennedyが発表した、歯の欠損状態による分類法です。
残存歯列に対する欠損部の位置関係により、支台歯と義歯床との分布関係に基づき症例を4つのタイプに分類しました。
ケネディーの分類
I級
現存する歯の後方に両側性の欠損が存在するもの(両側性遊離端欠損)
II級
現存する歯の後方に片側性の欠損が存在するもの(片側性遊離端欠損)
III級
片側性欠損領域の前方と後方の両方に歯が存在するもの(片側性中間欠損)
IV級
現存する歯の前方に正中線を越えて一つの欠損領域をもつもの(前方歯中間欠損)
今回はケネディ分類I級(両側性遊離端欠損)現存する歯の後方に両側性の欠損が存在する場合のケースをみていきましょう。
遊離端とは、最後方大臼歯(7番または8番)が欠損している状態のこと言います。
奥にもう歯がないようなケースでは、ブリッジの支えとなる前後の歯が無いことで、ブリッジで対応できないことが多く、入れ歯かインプラントの適応となります。
入れ歯の場合を例にとってご説明します。
①金属の連結装置
左右に分かれた欠損部の義歯を1個の義歯にするために連結しますが、金属の連結装置(バー)で作る場合は、金属部を既成のものを曲げるときと、鋳造して作る場合があります。
既成のものは安価ですが、適合性が劣ります。
②レジンの連結装置
連結装置として義歯材料と同じレジンを使う場合があります。適合は良いが、強度に不安があります。
入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯があります。
見た目や装着感が材質により異なります。費用も保険診療と自費診療から選ぶことができます。
患者さんの歯と口の状態に適した入れ歯をお話を伺い最善のご提案をいたしております。
保険診療 | 自費診療 | |
部分入れ歯 | バネのついたプラスティック製。 | バネが目立たない素材を使用。 |
総入れ歯 | プラスティック製。割れやすく、厚みがあります。軽い。 | 金属床。丈夫で薄い為、装着していても違和感が少ない。熱を伝えてくれるので食事が美味しく感じられる。 |