部分入れ歯のお悩み~目立つのが嫌!お口全体を直したい!~
こんにちは。
入れ歯には様々な悩みがつきものだと思います。今回は、「部分入れ歯」について取り上げたいと思います。
- 入れ歯を入れているが、金具が目立つのが嫌!
- お金をかけてもいいから、ある程度お口全体を直したい!
現在部分入れ歯をお使いの方で、このようなお悩み、お考えをお持ちの方がいらっしゃると思います。そのような方に、今回は、「歯冠外アタッチメント義歯」、「ミリング入れ歯」という、2種類の入れ歯をご紹介いたします。
何らかの理由で自分の歯を失ってしまうのは、辛いことですよね。しかし、歯が少しくらい無くてももあまり問題ないと考えて、そのまま放置するのは良くありません。まわりの健康な歯ばかりではなく、体全体にまでも悪影響を及ぼすこととなってしまうからです。
そこで、歯医者に行ったときに治療を勧められると思います。失った歯を補う方法は何通りかあるのですが、やはり、一番メジャーな方法で、イメージもしやすいの、「入れ歯(義歯)」ではないでしょうか。
「歯の喪失と年齢」、「義歯の使用状況」について厚生労働省の調査結果
厚生労働省が実施した歯に関する調査の中から、「歯の喪失と年齢」、「義歯の使用状況」について引用してみます。
2016年に行われた全国調査(歯科疾患実態調査)における一人あたりの歯の数(一人平均現在歯数)を年齢階級別に示したものですが、高年齢層ほど値が低く後期高齢者(75歳~)では、本来持っている歯の数(28本)の半数近くが失われています。(後期高齢者で20本以上の歯を持つ人は46%です。)
何らかの義歯(ブリッジ・部分入れ歯・総入れ歯)を使っている人の割合は年齢とともに高く、後期高齢者では84%に達します。義歯の種類別に内訳をみますと、歯の喪失が進むにつれて、ブリッジ→部分入れ歯→総入れ歯と、より大きな義歯を使用する状況が窺え、後期高齢者では約3割の人が総入れ歯を使用しています。
(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 歯の喪失の実態 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp) から抜粋して引用。)
大体ご想像はつくかと思いますが、やはり、年齢を重ねた方が自分の歯を失うことが多くなるようです。また、歯を失っている方が多くなる45歳以降を対象とした調査では、義歯を使用している方では、ブリッジを使っている方が最も多く、次に部分入れ歯、そして総入れ歯と続きます。今回話題にする部分入れ歯は、義歯のうち2番目に使用者が多いということになりますね。
さて、入れ歯を最初に作成される際、ほとんどの方は、保険の適用されるものを作られると思います。しかし、保険の適用される入れ歯は、価格こそ安く作れますが、細かい部分まで調整することが難しいというデメリットも存在します。そのこともあり、「合わない」などの様々なお悩みが出てくるのです。
精巧な入れ歯、歯冠外アタッチメント義歯とミリング入れ歯をご紹介いたします。
今回ご紹介する「歯冠外アタッチメント義歯」、「ミリング入れ歯」というのは、保険は適用されず自費となるため、価格は高くなりますが、細かい部分まで調整することができるというものです。
歯冠外アタッチメント義歯
まず、「歯冠外アタッチメント義歯」についてです。
名前が難しくて分からない!という声が聞こえてくる気がしてならないので、この言葉の意味から簡単ではありますが、ご説明いたします。
「歯冠」というのは、歯の、歯ぐきから出ている部分(通常白く見える部分)のことを指す言葉です。その下にあって、普通は見えない部分は「歯根」(歯の根っこ)と呼ばれます。図で示すと下のとおりです。
(画像引用元:公益財団法人 ライオン歯科衛生研究所のホームページ 歯と歯周組織の構造|歯と口の健康研究室|ライオン歯科衛生研究所 (lion-dent-health.or.jp))
次に、「アタッチメント」についてです。これは、入れ歯を装着するときに、安定させるための連結装置を指す言葉です。
保険適用の入れ歯の場合、「クラスプ」と呼ばれる金属のバネを残っている歯に引っ掛けて固定させるのですが、この方法だと、どうしてもその部分の金具が口を開けたときに目立ってしまいます。しかし、アタッチメントの場合は外から見えないため、見た目を気にすることがありません。
また、クラスプを使うよりも、しっかりと固定することができるため、歯を傷つけにくく、安定性に優れています。
この「歯冠」の外に「アタッチメント」があるということを意味するのが、「歯冠外アタッチメント義歯」なのです。
治療の仕方は、患者様の状態にもよって何通りかあるのですが、代表的な方法を具体的に説明すると、次のようになります。
残っている歯の歯冠に、直接アタッチメントを埋め込むか、アタッチメントを取り付けたかぶせ物をかぶせます。そのアタッチメントは、「歯冠外」つまり、残っている歯と失った歯の間に付いている状態です。入れ歯の側に取り付けたアタッチメントとそのアタッチメントを合わせることによって入れ歯を安定させます。
ちょっとイメージがしにくいと思いますが、衣類や財布などに付いている、「ホックボタン」や「スナップボタン」のような感じで、どちらかがオス、どちらかがメスとなっていて、カチッとはめるようなものをイメージしていただけると近いと思います。
先ほども触れましたが、この入れ歯であれば金具が見えないため、周囲から入れ歯だと気付かれにくいため、歯を出して笑うことにも抵抗を感じなくなります。また、しっかりと固定されるため、かみ合わせが良くなり、自分の歯と近い感覚で食事をすることができます。
歯冠外アタッチメント義歯のイメージは次の通りです。
(画像引用元:株式会社 足利セラミックラボラトリーのホームページ アタッチメント | 審美系義歯や高精度義歯は株式会社足利セラミックラボラトリーで (acl-jp.com))
ミリング入れ歯
次に、「ミリング入れ歯」についてです。
ミリング入れ歯も、言葉で説明するのが難しいのですが、今、日本で一番精巧な部分入れ歯であるということができるものです。
残っている歯を削り、そこに被せ物をします。その被せ物に特殊で精巧な金属による加工を施します。そして、その被せ物に施した金属による加工部分とぴったりとかみ合うように、入れ歯側にも金属による精巧な加工を施します。茶筒の技術を応用したともいわれる、この、「ミリング入れ歯」は、日本の技術が生み出した、正に、芸術品ともいえるほどのすばらしいものなのです。加工が20分の1㎜ずれてしまったらぴったりとはまりません。とても熟練した技術が必要とされるものでもあるのです。
ミリング入れ歯は、入れ歯だけではなく、残っている歯を削るところから設計をしていくため、お口全体を直すということになります。そのため、他の入れ歯よりもぴったりとはめることができ、ほとんど自分の歯のように使うことができるのです。結果として、かみ合わせが良くなり、きちんと咀嚼(そしゃく)をすることができるようになり、健康な体へとつながるのです。
見た目も、バネを使わないので、周りの人から、入れ歯を使っていると気付かれにくくなり、会食の際や笑う際にも気を使わなくても済むようになります。
部分入れ歯が目立つのが嫌お口全体を直したい!という方は、歯冠外アタッチメント義歯とミリング入れ歯についてご相談ください
今回は、
- 入れ歯を入れているが、金具が目立つのが嫌!
- お金をかけてもいいから、ある程度お口全体を直したい!
このようなお悩みをお持ちの方に、「歯冠外アタッチメント義歯」と「ミリング入れ歯」のご紹介という内容でしたが、いかがでしたでしょうか。これらの比較的精巧な入れ歯で、上のようなお悩みを解決できるのはもちろんですが、その後にも、副次的な効果があります。
今回ご紹介した入れ歯は、保険の適用にならないため、費用的にはどうしても高額になってしまいます。そのような高額治療をした後は、せっかくお金をかけた入れ歯を大事に、残っている歯も大事にしたいと考えるのが人の感情ですよね。そのため、歯のお手入れ、口腔内のお手入れをしっかりとするようになって、その結果、虫歯や歯周病の予防につながり、最終的には全身の健康へとつながることになるのです。
今回ご紹介した入れ歯は、患者様の状態によっても治療方法が異なってきますので、実際に診察してみないと何とも言えない部分が多いです。インターネット上には、同じような情報がいろいろありますが、どれも、あくまでも一般的な内容です。これを機会に、このような入れ歯が気になっている方は、ぜひ当医院(岐阜県多治見市の「おなだ歯科・矯正歯科」)に相談に来られることをおすすめいたします。
皆さまにお会いできることを楽しみにしております。